副島整形外科

リバース型人工肩関節について

今回は池邉医師に『リバース型人工肩関節』についてお聞きしました。

Q)前回森澤院長の話の中で『リバース型人工肩関節』という言葉を聞いたのですが、どのようなもので、通常の人工肩関節と何が違うのでしょうか?
A)リバース型人工肩関節(以下RSA)は、通常の人工肩関節とは違い、肩のボールとソケットの位置を逆にした人工肩関節です。
この方法は、ヨーロッパで広く使われ、アメリカでは2000年代、日本では2014年に承認され、今では多くの病院で行われています。

Q)位置を逆にするのはなぜですか?

A)通常、腕を動かすには「腱板(けんばん)」という筋肉が大切ですが、この腱板が傷んでしまうと腕が動かしにくくなります。RSAは、三角筋という肩の大きな筋肉を活かして腕を動かせるようにすることで、腱板が傷んでいても腕を動かせるのが特徴です。RSAのメリットとして以下のようなことがあげられます。

力が入りやすい
三角筋の力を活かせるので、少ない力で腕を挙げやすくなります。
肩が安定しやすい
肩の関節がしっかりとはまりやすくなり、脱臼しにくくなります。
腱板がなくても動かせる
腱板が傷んでいても、三角筋の力で腕を動かせるようになります。

Q)どんな人がRSAの手術を受けるのですか?

A)以下のような方が対象になります。
腱板が大きく損傷し、関節が変形してしまった人
腱板が大きく損傷し、腱板の修復する手術が難しい人
重度の変形性肩関節症(通常の人工肩関節では対応が難しい場合)
肩の骨折が複雑で元の状態に戻せない人

などです。

Q)上記のような場合ではだれでもRSAの手術を受けられるのですか?

A)RSAの手術を受けるには適応基準がありますので、適応基準につきましては受診していただき、ご相談ください。

Q)手術を受けるとどのくらいの入院が必要になりますか?

A)当院では約3週間前後の入院をしていただいています。

Q)手術後リハビリは必要ですか?

Q)リハビリは手術直後より開始します。可動域訓練、筋力訓練、日常生活動作訓練等を入院中は毎日行い、退院後は外来で週に1~2回、3~5ヶ月程度リハビリを実施します。

Q)手術後の日常生活で注意する事はありますか?

A)腕を過度に体より後ろにもっていく、手を外側に大きく広げる、転倒等には十分注意が必要です。他にも注意すべき点は術後の期間により変化していきますので、経過診察・リハビリの際に説明させていただきます。

Q)手術を受ける際は全身麻酔で行うのでしょうか。

A)全身麻酔+局所麻酔で行います。麻酔について不安を持たれている方も多いと思いますので、麻酔や、手術前後の状態管理について次回前田先生に説明していただきたいと思います。前田先生よろしくお願いします。

Q)『リバース型人工肩関節』について教えていただきありがとうございました。

A)こちらこそありがとうございました。人工肩関節に限らず、肩のことでお困りの際はお気軽にご受診・ご相談ください。

副島整形外科病院
リバース型人工肩関節(RSA) 症例数
年度症例数
令和4年度30例
令和5年度32例
令和6年度28例
池邉 智史

 

今回話を聞いた医師

池邉医師