副島整形外科

第30回日本基礎理学療法学会学術大会

2025年10月17日(金)・18日(土)に大分県の別府国際コンベンションセンターで開催された『第30回日本基礎理学療法学会学術大会』に当院理学療法士の山浦、溝田、、志波、牧野、石橋、西本が参加・発表してきました。

山浦、溝田は体表解剖学研究会セミナーのハンズオンセミナーの講師及び、ファシリテーター、志波、牧野は学会準備委員を務めました。

【山浦・溝田】
『本学会の企画のうち自身が所属する体表解剖学研究会主催の運動器系体表解剖学のハンズオンセミナーのファシリテーターおよびデモンストレーション講師として参加し,肩周囲・大腿部周囲の筋や骨,神経等の体表からの触察法を学会参加者へレクチャーさせて頂きました。内容自体は「解剖講義→筋触察のデモンストレーション→触察実習→エコーを用いてのフィードバック」というもので,丸二日間ほぼ休憩無しのハードなものでしたが「Science→Art「触って感じとる」を追求する」というテーマにふさわしいセミナーを開催することができました。
体表解剖学の発展に尽力されてきた大分大学の河上敬介教授が学術大会長を務められた事もあり実現した
セミナーでしたが, 学会全体の参加者も約850名と盛会であり様々な分野の方と情報交換等も行うことがで
き,大変有意義な時間を過ごさせて頂きました。
今後もこのような学会への参加や研究会での活動を継続し,そこで得られる情報や研鑽した技術を臨床に
落とし込んで,当院を利用して頂く患者様にも還元していければと考えております。』

【志波】
演題名
『変形性股関節症患者の歩行時の胸部と骨盤の前額面における協調運動パターンの特性』

「第30回日本基礎理学療法学会学術大会では、準備委員として運営に携わるとともに、「変形性股関節症患者の歩行時の胸部と骨盤の前額面における協調運動パターンの特性」にてポスター発表を行いました。
初めて準備委員を務める中で、学会を開催するためには多くの準備と調整が必要であり、数多くの方々のご尽力によって学術大会が成り立っていることを実感いたしました。大変貴重な経験となりました。
一般演題での発表では、より良い研究デザインにつながるご助言や、今後の研究活動に向けた多くの示唆を頂きました。いただいたご意見を糧に、臨床に活かせるよう努めながら、今後も研究活動に励んでまいります。」

【牧野】
演題名
『変形性膝関節症患者における脛骨矢状面角速度とKnee Flexion Excursionの関係および脛骨矢状面角速度に関連する因子の検討』

「変形性膝関節症の症状には、歩行動作の影響が大きく、歩行動作を適切に評価することは重要です。そこで本研究は当院でも簡便に使用可能な小型の9軸慣性センサ(IMU)を使用し、変形性膝関節症の進行や症状に影響を及ぼすKnee Flexion Excursionという指標とIMUから得た角速度データが有意な関係にあることを明らかにしました。また、IMUから得た角速度データに関連する因子を調査した結果、腫脹が抽出され,腫脹の管理の重要性を明らかにしました。この結果は、当クリニックおよび当院において変形性膝関節症患者様の理学療法を行う上で有用な知見であると考えます。
また、本学術大会では、準備委員として運営の一部を担わせていただきました。当院からも多大なご支援をいただき、盛会に終えることが出来ました。
改めまして、ご支援いただいたこと、参加させていただきましたことに心より感謝申し上げます。ありがとうございました。」

【石橋】
演題名
『FHL Excursion Testの検者間・検者内信頼性について』

「荷重位での足関節背屈可動域の制限因子の1つとして長母趾屈筋の柔軟性低下が挙げられ、その評価としてFHL Excursion Testが提唱されています。今回の研究では、FHLExcursion Testの再現性・信頼性について調査し、その結果、検者間・検者内信頼性いずれも優れた信頼性を示しました。このことから FHL Excursion Testは、長母趾屈筋の柔軟性を簡易的に表出できる汎用性高い評価となる可能性があり、臨床で本手法を応用し、定量化することでより適切な評価に繋がると考えます。
今回、発表の際に、多くの理学療法士の方々からご助言いただくことができ貴重な機会となりました。引き続き研究や学会発表等を行い、得られた知見を患者様への治療に活かせるよう努めていきたいと思います。」

【西本】
演題名
『健常成人における荷重位背屈可動域と内側縦アーチ高・柔軟性の関係について』

「足関節背屈可動域は、日常生活活動およびスポーツ活動において重要です。その足関節背屈可動域を測定する際には、非荷重位のみではなく荷重位で測定することが重要であり、その荷重位背屈時には内側縦アーチの下降が関与することが考えられます.そこで、健
常成人を対象に荷重位背屈可動域と内側縦アーチ高および柔軟性との関係を明らかにすることを目的に画像解析を用いて研究を行いました。結果として、健常成人において、内側縦アーチは座位・立位時よりも荷重位背屈時で下降する必要があり、荷重位背屈可動域と内側縦アーチの柔軟性に弱い相関関係を認めました。したがって、荷重位背屈可動域を改善していく場合、内側縦アーチの下降の制限となる足部の柔軟性の改善も図る必要があると考えます。今回得られた知見を日々の臨床に活かし,今後もより良い理学療法の提供が出来るように努めて参ります。また、本研究にご協力頂きました皆様に感謝を申し上げます。ありがとうございました。」

当院は、この度開催された 『第30回日本基礎理学療法学会学術大会 』に協賛いたしました。本学会は、基礎理学療法学の発展と臨床への応用を目的として多くの研究者・臨床家が集う重要な学術大会です。

今回の協賛を通じて、理学療法分野のさらなる発展に微力ながら貢献できれば幸いです。当院としても、今後も学術的な取り組みや地域医療への貢献を継続してまいります。