副島整形外科

『第13回日本運動器理学療法学会学術大会』

11月22日(土)・23日(日)に大阪府の大阪国際会議場で開催された、『第13回日本運動器理学療法学会学術大会』に当院理学療法士の溝田、志波、後藤、牧野が参加・発表しましました。

志波
『人工股関節全置換術患者の歩行時における胸部と骨盤の前額面での協調運動パターンの特性』

第13回日本運動器理学療法学会学術大会では、人工股関節全置換術(THA)患者の歩行時における胸部と骨盤の前額面での協調運動パターンの特性について発表を行いました。THA患者では歩行時に体幹が前額面上で大きく傾斜することが既に報告されていますが、その詳細なメカニズムについては不明な点も多く残されています。本研究では、この体幹傾斜を胸部と骨盤という二つの剛体に分け、それぞれが歩行周期の中でどのようなタイミングで、どの方向へ協調して傾斜しているのかを解析しました。これにより、単一の関節角度では捉えきれない、体幹全体の運動制御の特徴を明確にすることができました。
今回の発表では、多くの先生方から貴重なご指摘や助言を頂き、今後の研究をより臨床的意義の高いものへ発展させるための重要な示唆を得ることができました。いただいたご意見を糧に、臨床での介入に還元できるよう取り組みを進めるとともに、引き続き研究活動にも精力的に励んでまいります。

後藤
『鏡視下腱板修復術後症例における患者満足度と術前の身体知覚異常の関連性について』

本学会学術大会において、鏡視下腱板修復術(Arthroscopic Rotator Cuff Repair:ARCR)後の患者満足度と、術前の身体知覚異常との関連について発表を行いました。当院では、ARCRを受けた患者さまに対し、入院中の術後リハビリテーションから退院後の外来リハビリテーションまで一貫したフォロー体制を整えています。これにより、治療経過を継続的に評価することが可能であり、患者満足度についても定期的に評価しています。患者満足度は、患者さまご自身の感じ方に基づく重要な評価指標です。本研究では、術後3か月時点の患者満足度に影響する要因を検討した結果、痛みや可動域といった身体機能に加え、術前の身体知覚の状態が満足度と独立して関連する可能性が示されました。これは、身体の感じ方や認識の違いが、術後の満足度に影響を与えることを示唆しています。これらの結果から、ARCR後の評価においては、身体機能の評価だけでなく、患者さまの主観的な評価を含めた多面的な視点が重要であると考えられます。特に、患者満足度のような主観的アウトカムは、治療効果を総合的に把握するために欠かせない指標であるといえます。

今後も、信頼性・妥当性が確認された評価指標を活用し、より質の高いリハビリテーションの提供とアウトカム評価の充実に取り組んでまいります。本学会学術大会への参加を通じて多くの学びを得るとともに、貴重な発表の機会をいただきましたことに心より感謝申し上げます。

牧野
『片側変形性膝関節症患者における脛骨内旋運動の特徴と脛骨矢状面運動学との関連』

私は以前の研究で変形性膝関節症患者の歩行動作において矢状面上の脛骨角速度が歩行時の膝関節運動と関連することを明らかにしました。そこで今回は矢状面上の脛骨角速度に関連する因子を検討し、変形膝関節症患者では歩行時の脛骨内旋運動(内側に回旋する運動)が減少し、それが脛骨の矢状面上の運動に関連することを明らかにしました。
このことは変形性膝関節症患者に対する歩行動作の改善を図る上で理学療法の一助となる可能性があります。
今後も変形性膝関節症患者の歩行動作を三次元動作解析装置などを用いてより詳細に調査し、さらにブラッシュアップしていきたいです。
この度は、このような貴重な機会をいただき誠にありがとうございました。