副島整形外科

九州理学療法士学術集会 2024 in 佐賀で発表を行いました

令和6年11月9日(土)、10日(日)SAGAアリーナで開催された『九州理学療法士学術大会 2024 in 佐賀』で当院理学療法士の山浦、溝田、牧野、山口の4人が発表を行いました。

本学術大会は日本理学療法士協会 九州ブロック会主催で、今年は佐賀県で開催され1500人を超える参加者が集いました。佐賀県での開催という事もあり、当院から発表者以外にも多くのスタッフが参加させて頂きました。

以下の内容で発表を行いました。

山浦
演題『5ミリ以下のヒールパッドが歩行に及ぼす影響』

様々な報告があるものの,20㎜以内の脚長差は歩行に影響を及ぼさないと広く認知されているかと思いますが,実際の臨床場面ではわずかな脚長差でも歩行に影響をきたす例が散見されます。この部分に着目し,1mm単位の高さの異なるヒールパッドを作成し,具体的にどの程度の疑似的脚長差が歩行に影響を及ぼすかを明らかにすることを目的に加速度計を用いて研究しました。1㎜単位のヒールパッドが歩行に影響を及ぼすことが明らかとなり㎜単位における調整の必要性が示唆されましたが,具体的に何㎜から影響を及ぼしたのかという部分は示すことができず課題を残す結果となりました。今後この部分を突き詰めていくことで,脚長差という観点だけでなく,足底挿板療法等を行う際などにも有用な知見を得ることができるのではないかと考えています。

今回の学会では発表時間だけでなく,その他の時間においても九州各地のセラピストの方から質問や今後の展望へ向けてのアドバイスを頂くことができ,学会へ参加することの意義や日頃の臨床での疑問を研究・調査しこのような場でアウトプットしていくことの重要性を改めて感じることができました。

溝田
演題『運動器下肢疾患におけるModified Plantar Flexion Break Testの信頼性・有用性について』

我々は,過去にPlantar Flexion Break Testの信頼性について調査しました。(Kobayashi.T,Mizota T et al :Journal of sport rehabilitation ,2022)
Journal of sport rehabilitation ,2022
Plantar Flexion Break Testとは,機器を用いず簡便に底屈筋力を徒手抵抗によって評価する手法ですが,現段階でその評価法の信頼性は十分ではありません。そこで,今回その評価法をModified(修正)することで,評価結果の信頼性が高まるのか?を検証しました。
結果は,
① 評価手法をModifiedすることで,評価(Plantar Flexion Break Test)の信頼性が高まった。
② Modified Plantar Flexion Break Testの結果は,従来行われているMMTや筋力に影響を与える可動域とも関連した。
以上より,今回新たに考案された,Modified Plantar Flexion Break Testは,底屈筋力低下に対する治療判定や競技復帰などの基準に応用可能であると考えられます。

引き続き,底屈筋力評価の検証を進め当院で提供する医療の質の向上につなげていければと思っています。

牧野
演題『片側変形性膝関節症患者における歩行荷重応答期の運動学的パラメータの特徴』

本研究は,片側変形性膝関節症患者を対象に変形性膝関節症側と症状の無い反対側で歩行の左右差を9軸慣性センサで検証した研究です。
具体的には,歩行時に膝関節が外方に移動するVarus Thrustと矢状面(屈伸)上での下腿角速度ピーク値を調査し,Varus Thrustは有意に増大し,下腿矢状面角速度ピーク値は有意に減少しておりました.特に,慣性センサを用いて下腿矢状面角速度ピーク値が減少していることを明らかに出来たことが本研究の新規性であり,臨床現場でも計測しやすいことが臨床的意義であると感じております.今後は,下腿矢状面角速度ピーク値がどのようなパラメータと関連を示すのかなどを調査し研究をブラッシュアップしていきたいです。

本研究では,臨床現場でも計測がしやすい指標を用いて研究を行いました。臨床現場では,時間に限りもあるため,より正確かつ簡便な歩行評価の実践が求められます.そのため,本研究の結果が日々の理学療法に活用できますと幸いです。

山口
演題『足関節果部骨折術後の荷重位背屈と母趾MPJ伸展角度の関連について』

足関節果部骨折術後の患者立脚型アウトカムには荷重位背屈が関連するという報告されています。
その荷重位背屈を制限する因子として長母趾屈筋の柔軟性の低下を考えました。
今回の研究で実際に長母趾屈筋が荷重位背屈に関連してることが証明されました。

今回の研究で得られた知見より、今後の治療にてより患者様の術後の満足度につながるサポートができるよう努めていきたいと思います。

そして今回、病院リハビリテーション科科長、溝田の発表『運動器下肢疾患におけるModified Plantar Flexion Break Testの信頼性・有用性について』が、150を超える演題の中から「最優秀演題賞」を受賞しました!!!
当院スタッフとしても嬉しく、そして大変誇らしく思います!!溝田科長おめでとうございます!!!

溝田
「本発表は,有難いことに本学術集会の最優秀演題賞に選定頂きました。
本評価法の考案者であり,発表に際しご指導頂いた群馬大学大学院 保健学研究科 の小林 匠 教授はじめ,ご協力頂いた患者様・院内スタッフに感謝申し上げます。」