人工股関節置換術について(下書き)
今回は石井医師に『人工股関節置換術』についてお聞きしました。
Q) 人工股関節置換術とは、どのような手術で、どんな疾患の方に行われるのですか?
A)変形性股関節症、大腿骨頭壊死症や関節リウマチなどで股関節の軟骨が傷ついたり、すり減ったりして、痛みによって日常生活が障害される場合に人工股関節置換術を行います。大腿骨頭を切除し、骨に人工の部品(骨盤側にカップ、大腿骨にステム)を設置する方法で、ひどい虫歯を抜いてインプラントに入れ替えることに似たような考えです。
Q)副島整形外科病院での手術について詳しく教えてください。
A)当院では手術は脊椎麻酔と全身麻酔の併用で行い、手術時間は70~90分程度です。
術後脱臼の予防や長期の耐久性のために人工関節のカップの設置角度には正確性が求められますので、ナビゲーションを用いたり、手術中にレントゲンで確認したり、より精度の高い手術を心がけています。
手術中の出血は150ml~400ml程度です。ご希望があれば自己血輸血も行っていますが、輸血の可能性は少なくなっています。
手術の翌日より車椅子、歩行訓練が開始となり、歩行器、杖歩行と段階的にリハビリをすすめていきます。ほとんどの方は1~2週目には1本杖で安定して歩行できるようになられます。
Q)手術後はどれくらいの期間の入院が必要ですか?
A)2週以降退院可能ですが、当院は地域包括病棟を備えていますのでご本人の不安が軽減するまで術後3~4週程度までゆっくり入院しながらリハビリすることもできます。
退院後は車の運転も可能です。
Q)人工股関節置換術には、心配される合併症にはどんなものがありますか?
A)人工股関節置換術の合併症として脱臼(骨頭がカップから外れること)、感染、深部静脈血栓症や肺塞栓症などがあげられます。
当院の術後脱臼の発生率は最近では1%以下です。
深部静脈血栓症(下肢の静脈内に血栓ができることです。これが血流にのって肺動脈に詰まると命にかかわる肺動脈塞栓症を生じることがあります)に対しては、術前より血液検査や必要に応じてエコーを用いて血栓の有無をチェックします。術後は1週、2週で検査を行い、血栓を認めたら抗凝固薬の内服を行いながらリハビリを継続します。
Q)人工股関節置換術のあと、退院後にリハビリは必要でしょうか?さらに、スポーツや仕事への復帰は可能でしょうか?
A)退院後はご希望の方はクリニックでのリハビリを週1~2回の頻度で1~2か月継続することもできます。
術後のスポーツはウォーキングやゴルフ、卓球、ダブルスのテニスなどは可能ですが、ラグビーやサッカーなどのコンタクトスポーツ(体と体がぶつかるようなスポーツ)はお勧めできません。
お仕事は農作業や大工仕事などもほとんどの方が復帰されています。
Q)人工股関節の耐用年数はどれくらいですか?また、長い年月のあいだに起こりやすい問題にはどのようなものがありますか?
A)以前に比較すると人工関節の素材やデザインがよくなって、20年以上の耐用年数が期待できるので、以前より若い年代の患者さんにも手術をするようになっています。しかし、長寿に伴って長期経過後の人工関節周囲の骨折の増加も最近の問題ではあります。長期にわたってフォローを行い、必要に応じて骨粗しょう症治療も併用していくためにも、当院で手術をされた患者さんと長くおつきあいさせていただきたいと思っております。
Q)石井医師、今回は人工股関節置換術について詳しく説明していただきありがとうございました。
A)股関節の痛みや、お困りのことがございましたら、一度ご受診していただきお気軽にご相談ください。
次回のコラムですが、江島医師に橈骨遠位端骨折についてお願いしたいと思います。江島医師よろしくお願いします。
| 副島整形外科病院 人工股関節置換術 症例数 | |
| 年度 | 症例数 |
| 令和4年度 | 80例 |
| 令和5年度 | 63例 |
| 令和6年度 | 73例 |



