橈骨遠位端骨折
今回は副島整形外科クリニック副院長 江島医師に手首の骨折である、『橈骨遠位端骨折(とうこつえんいたんこっせつ)』について話を聞きました。
Q)橈骨遠位端骨折はどんな骨折で、どのくらいの頻度で起こるのでしょうか?また原因や起こりやすい状況を教えてください。
A)橈骨とは腕(前腕)にある2本の骨のうち親指側の骨で、手首の関節を作っています。手首に近い部位での橈骨骨折が橈骨遠位端骨折です。
上肢で最も多い骨折で、1年間に人口1万人あたり約12人、性別では男性に比べ女性の発生数は約3倍です。諸国の調査でも発生率はほぼ同じです。
70歳以上の発生率を見てみると若い人に比べ男性で約2倍、女性で約18倍となっており、ピークはおおよそ80歳です。
原因は半数以上が転倒です。片足立ちが15秒間できないと起こしやすい事が分かっています。性別では男性は転落や交通事故、女性は転倒で多く発生しています。
受傷場所は野外が多く、時期は冬季に多いことも特徴です。
Q)橈骨遠位端骨折は、どのような症状が出ますか?またどのように診断しますか?
A)症状は手首が痛み腫れてきます。
時に見た目でも変形していることがあります。
診断にはレントゲン撮影が必要です。
Q)骨折した場合、どのような治療を行いますか?
A)治療はギブスシーネなどを使って固定する保存療法、または金属などで骨を固定する手術療法があります。
転位(ズレ)のない骨折は一般的には保存療法が選ばれます。
転移がある骨折の場合は整復(ズレを元に近い形に戻す)処置を行い、まずは保存療法を始めます。
Q)骨折はどのような場合に手術が必要になりますか?
A)その後は定期的にレントゲン検査を行いギブスシーネなどを外す時期を決めます。
しかしながら骨が癒合(繋がること)しても、痛みや手首の動きが悪いといった症状が残る事があります。
これは転位の大きさや向きが原因であるため、十分に整復できない場合、また粉砕骨折のような、整復ができても再び転位するような場合は手術を行います。
Q)骨折の手術はどのように行われますか?また手術後の経過はどうなりますか?
A)手術はプレートとネジを使って骨折を固定します。
手術後はほとんどが早くにギプスを外せるため、治療期間を短くする目的で手術が選ばれることもあります。
Q)手術後はいつから手首を動かすことができますか?
A)術後は創部の安静保持と腫脹管理のため、3日~1週間程度ギプスシーネ固定を行います。
その後、骨折の型や内固定の安定性、痛みや腫れの状態を確認しながらサポーターへ移行し、早期から手関節の可動域訓練を開始します。
Q)骨折の手術後、入院期間はどれくらいですか?また退院後はどのような治療を行いますか?
A)入院期間は概ね10日前後ですが、個々の状態により調整します。
退院後は外来での診察、リハビリテーションを継続し、関節可動域の改善、筋力回復、日常生活動作の再獲得を目標に段階的にサポートいたします。
Q)子どもの骨折はどのように治療しますか?
A)小児も同じように保存加療または手術治療を行います。
10歳未満では骨の癒合は早く2週間程度、10歳以上は3~4週間の保存加療を行います。
骨が癒合しても症状が残るような、転位が大きなものや骨の成長に悪い影響がある骨折の場合は手術を行います。
ピンを数本使って骨折を固定する手術がほとんどで、一般的にピンは数週間で抜きます。
ピンは皮膚の中に埋め込まず皮膚の外に見えるように出しておきます。
定期的にレントゲン検査を行い、骨が癒合すれば外来診療時にピンを抜きます。
Q)橈骨遠位端骨折と骨粗鬆症には関係がありますか?
A)骨粗鬆症は橈骨遠位端を含め背骨や大腿骨骨折などの危険因子です。
最近、橈骨遠位端骨折は骨粗鬆症を原因とする骨折のなかで最初に発生する事が知られるようになりました。
この骨折の後に背骨や大腿骨の骨折を続けて起こす危険が高く、こういった部位の骨折は寿命に影響することも分かってきました。
ドミノのように連続して起きる骨粗鬆症性の骨折を防ぐため、骨折自体の治療と合わせて当院では骨粗鬆症の診断、治療も同時に始めています。
Q)今回は橈骨遠位端骨折について、病態や治療などについて教えていただきありがとうございました。
A)骨折に限らず、手首の痛みや、しびれなど気になることがありましたら受診していただきご相談ください。
次回のそえじま健康教室ですが川神医師にお願いしたいと思います。
川神医師、よろしくお願いします。
| 副島整形外科病院 橈骨遠位端骨折 手術症例数 | |
| 年度 | 手術症例数 |
| 令和4年度 | 73例 |
| 令和5年度 | 73例 |
| 令和6年度 | 80例 |
今回話を聞いた医師
副島整形外科クリニック 副院長
江島医師



